自然と伝統を未来へつなぐ、ブルーダルジャンの哲学
BLEU D’ARGENSの香りが生まれるのは、フランス南東部、アルプスのふもとにある小さな村・アルジャン。ここには、古来より薬草として親しまれてきたラベンダーが、無農薬・無化学肥料で育てられています。
わたしたちは、「本当に美しい香りは、健やかな自然と誠実な手仕事から生まれる」と信じています。HVE(環境価値重視)認証を受けた農園での栽培、スローコスメティック運動への参加、世界ジオパークやフランス無形文化遺産との連携——。
これらすべては、香りをつくるだけでなく、自然と人が共に生きる未来を守るための活動です。香りは目に見えませんが、だからこそ誠実でありたい。BLEU D’ARGENSの香りが、よりよい地球と文化を次世代へと繋いでいく橋渡しになりますように。


自然と調和した農業——HVE認証レベル3を取得
BLEU D’ARGENSのラベンダー農園は、フランス農業・食料省が定めるHVE(Haute Valeur Environnementale)=環境価値重視農業認証の**最高レベル「レベル3」**を取得しています。
これは単なる有機農業の認証ではなく、農業が自然環境に与える影響を多角的に評価し、持続可能性の高さを証明するものです。
HVEの認証は、以下の4分野の取り組みについて厳格な基準を満たす必要があります:
生物多様性の保全(ミツバチや蝶、野鳥など在来生態系の維持)
農薬使用の削減(極力使わずに、植物本来の免疫力を活かす)
施肥管理(化学肥料を使わず、土壌の自然な循環を守る)
水資源の保全(農業用水の節水と、地中への健全な還元)
標高1,400mの山岳地帯という自然環境の中で、BLEU D’ARGENSでは野生ラベンダーから種を採取し、農薬も化学肥料も一切使わずに栽培を続けています。虫が少ない土地柄を生かし、植物が本来持つ生命力や香りの個性を尊重する農法を貫く姿勢。環境に負荷をかけず、未来の風景を守りながら、美しい香りを育てる。
それがBLEU D’ARGENSのサステナブル・ファームの原点です。


肌にも、地球にもやさしい選択──スローコスメティック®認証
BLEU D’ARGENSは、フランス発の国際的な認証制度「スローコスメティック(Slow Cosmétique®)」において、厳しい審査を通過し2つ星の認定を受けています。この認証は、単にナチュラルな成分を使っているだけではなく、製品づくりの思想そのものが評価されるものです。
スローコスメティックは次の4つの理念に基づいています:
エコロジカルであること
→ 石油由来原料や合成香料を使用せず、自然由来成分を優先。
健全であること
→ 肌や身体、自然環境にとって無理のない配合。
知性的であること
→ マーケティングに依存せず、消費者教育に貢献する。
倫理的であること
→ 過剰包装を避け、地元生産者を尊重し、フェアな価値を提供。
BLEU D’ARGENSでは、ラベンダーの栽培から製品づくりまで、必要なものだけを、必要なだけ。過剰な美の演出や装飾を避け、本当に肌が求める自然の力を、シンプルかつ誠実な形で届けることを大切にしています。
肌へのやさしさも、地球へのやさしさも、どちらも手放さない。BLEU D’ARGENSの製品は、**“未来を変えるコスメ”**として、スローで確かな一歩を積み重ねています。


ユネスコ世界ジオパーク──この大地だからこそ、香りが生まれる
BLEU D’ARGENSのラベンダー農園が広がるヴェルドン地域自然公園は、ユネスコによって**「世界ジオパーク」**に認定された、地球の記憶が眠る土地です。
約2億年前には海底だったこの地域は、アルプス造山活動により標高1,400mの山岳地帯へと姿を変えました。地質・地形・気候が複雑に絡み合ったこの環境は、ラベンダーが最も芳香成分を蓄えるのに理想的なテロワールを生み出しています。
世界ジオパークとは、ただの自然保護地域ではありません。それは、地球の成り立ちと人類の暮らしが共存してきた証であり、地域の歴史、文化、生物多様性、そして人々の営みまでもが**“一つの生命体”として評価されている場所**です。
BLEU D’ARGENSが守り続ける農園もまた、こうしたユニークな地層と生態系、そして手作業で受け継がれてきたラベンダー文化に支えられています。
この地だからこそ咲く香り、この地だからこそ宿る力。それが、BLEU D’ARGENSの真正ラベンダーが放つ、透明感と奥行きのある香りの秘密です。
南フランスとラベンダー文化の歩み
ラベンダーの歴史は2000年以上前に遡ります。地中海沿岸の野草として発見されたラベンダーは、古代ローマ時代にはすでに“Lavandula”と呼ばれ、入浴や洗濯、傷の手当てに使われていました。
その語源「lavare(洗う)」は、清めや癒しの象徴として現代まで受け継がれています。
16世紀以降、蒸留技術が南仏プロヴァンスに広まり、ラベンダー精油は薬草から香料原料へと進化します。18世紀にはグラースが香水産業の中心地として発展し、ラベンダーは香水や石鹸、軟膏の主成分として重宝されるようになりました。
この時代、プロヴァンスでは農家が家族で手摘みしたラベンダーを、村の蒸留所に運ぶ光景が当たり前だったのです。
1928年、フランス人化学者ルネ=モーリス・ガットフォセが、自身の火傷をラベンダー精油で治療した体験をきっかけに、「アロマテラピー(芳香療法)」という言葉が生まれました。彼は植物の精油に秘められた薬理作用を科学的に研究し、ラベンダーをはじめとした精油の“治癒力”に注目。
ラベンダーはここから「香水」ではなく「医療・癒しの領域」へと広がっていきます。BLEU D’ARGENSのラベンダーが大切にするのは、まさにこの“アロマの原点”。
香りと身体、そして心がつながる植物の力を、今に受け継いでいます。
第二次世界大戦後、香料・化粧品市場の拡大とともに、効率的な栽培と精油の収油率が高い「ラバンディン(交配種)」が主流になります。一方で、在来種の真正ラベンダーは生産量が激減し、“特別な香り”として一部の農家やセラピストたちに守られ続けました。
2022年、フランス政府は「ラベンダーの栽培・蒸留・伝統的ノウハウ」を、正式にフランス無形文化遺産(Patrimoine Culturel Immatériel de la France)として登録しました。これは、ラベンダーが自然の恵みであると同時に、地域の歴史・風景・生活文化に深く根付いた“生きた遺産”であることが認められたことを意味します。
この文化遺産登録に際しては、フランスのラベンダー生産者や研究者たちの協力により、伝統技術と地域の文化的意義を明らかにした詳細なレポートが提出されました。その中で、BLEU D’ARGENSの農園と活動も紹介されています。
標高1,400mの山岳地帯で、在来種ラベンダーを無農薬・非クローン栽培にこだわって守り続ける取り組み、そしてその香りを日本を含む海外へ届ける地道な活動が、ラベンダー文化の継承モデルとして評価されました。
BLEU D’ARGENSは、単なる生産者ではなく、フランスが誇る香りの文化遺産を未来へつなぐ担い手のひとつです。
アルジャン村のBLEU D’ARGENS農園では、昔ながらの手摘み収穫と伝統的な天日干し、水蒸気蒸留を今も守り続けています。それは、効率よりも香りの美しさと文化の継承を大切にしているから。
この土地、この手仕事、そしてこの哲学があってこそ、「ラベンダーの香り」は真の命を持ち続けるのです。
気候変動、生物多様性の損失、大量生産と消費——
これらの時代的課題の中で、私たちは自然との共生、文化の継承、そして香りがもたらす心の豊かさを大切にし続けます。これからも、この土地にしかないラベンダー文化と、真にサステナブルなライフスタイルを、世界に届けていきます。