ラベンダーとの出会いが人生を変えた|フランス留学から起業家になるまで

ラベンダーとの出会いが人生を変えた|フランス留学から起業家になるまで

はじめに|フランスのラベンダーが人生を変えた瞬間

現在、私が手がけている仕事は「ブルーダルジャン」という南仏のラベンダーブランドを日本中に広めることです。その香りは優雅で爽やかでありながら、どこか野性味のある力強さも感じられます。まさに、南仏プロヴァンスの大地そのものを思わせる香りです。

そんな香りに魅了され、心を奪われ、いつの間にか会社を立ち上げていました。当時、私はまだ大学生で、フランス留学から帰国して間もない頃でした。この記事では、創業から10年を迎えた今、あのときゼロから始めた意味を改めて振り返ってみたいと思います。

留学のラスト1ヶ月、ラベンダー畑への衝動的な旅

2014年7月、私のフランス留学は残り1ヶ月となり、そろそろ帰国に向けた準備を始めようとしていました。そんな中、私は「最後の思い出に何か特別な体験をしたい」と思い立ち、旅の計画を立てました。その目的地に選んだのが、プロヴァンス地方のラベンダー畑でした。

当時の私は、地元で農業系のスタートアップを立ち上げる構想を持っており、「フランスの農地を見ておきたい」という気持ちがありました。そんなシンプルな動機が、後に自分の人生を大きく動かすとは、思いもしませんでした。

アヴィニョンの街並み

アヴィニョンからプロヴァンスのラベンダー畑へ|香りとの運命的な出会い

プロヴァンスのラベンダー畑へ行くには、アヴィニョンという街を拠点にするのが一般的です。私はバスツアーに申し込み、前日にアヴィニョン入りして街を散策しました。実はこの街には2回目の訪問で、前回立ち寄ったワインショップにも再訪しました。

そこで出会ったのが、中世風ワイン「イポクラス」。スパイスや蜂蜜を加えて造られたワインで、今でもその味と香りを覚えています。店主が話してくれた「何事も少しずつ」という言葉は、今の自分にとっても大切な教訓です。

アヴィニョンのショップ

農業スタートアップの夢から一転、ラベンダー製品の輸入へ

実際に訪れたラベンダー畑は、厳密にはラバンジン(交配種)の畑でした。当時はその違いもわからず、ただただ圧倒されていました。帰国後、私はラベンダーの香りに感動し、土産として持ち帰った製品を周囲に配りました。

それがとても好評で、「また買いたい」という声を多数いただいたのです。再び現地の販売所に問い合わせたところ、海外には出荷していないとの回答でした。そんな中、偶然目にしたのが、地元紙で紹介されていた小さなラベンダー農園「ブルーダルジャン」でした。

地方新聞記事

標高1,400m、桃源郷のような南仏のラベンダー農園との出会い

2015年の夏、私は再び南フランスを訪れました。目的は、その新聞記事で見つけたブルーダルジャン農園の訪問です。標高1,400mのアルジャン村という秘境のような場所にある農園は、人口わずか15人の静かな山村にありました。

農園のオーナーであるヴェロニクさんは、心から私たちを歓迎してくれました。トラックの荷台に乗って辿り着いたラベンダー畑は、白・青・紫など多彩な色が咲き乱れ、どこまでも自然と調和した光景でした。ここで私は、真正ラベンダーの本当の姿を知りました。

アルジャン村の真正ラベンダー畑

フランス留学から起業へ|自分の人生を変えたラベンダーとの縁

こうして、大学の交換留学をきっかけに訪れたラベンダー畑が、私の人生を変える大きな転機となりました。当時は「起業家になる」という自覚はありませんでしたが、気がつけばラベンダーとともに歩む人生が始まっていました。

起業の動機は明確な戦略というよりも、「なんだか面白そうだからやってみよう」という素直な好奇心と衝動でした。結果的に、たくさんの出会いと協力者に恵まれ、現在に至っています。私にとってのフランス留学は、単なる語学習得の場ではなく、人生そのものを変える出会いの場でした。

そしてこれからも、ラベンダーの香りとともに、日本とフランスをつなぐ架け橋でありたいと思っています。

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