南仏プロヴァンス地方のラベンダー巡礼旅|アルジャン村 Vol.2

南仏プロヴァンス地方のラベンダー巡礼旅|アルジャン村 Vol.2

8月15日、年に一度の村の祭り

原種の真正ラベンダーが満開となるこの時期、アルジャン村では年に一度のお祭りが開催されます。タイミングは「Assomption(被昇天祭)」と呼ばれる、フランスの祝日に合わせたもの。日本で言えば“お盆”のような日で、フランス全土が静かに休暇モードへと入ります。

この日は、普段人口8人の小さな村が、かつての住人や親戚、バカンス中の別荘利用者などが集まって、なんと80人を超える人々で賑わいました。

アルジャン村のお祭り風景1 アルジャン村のお祭り風景2

伝統が息づく「夏のパン祭り」

この祭りの主役は、昔ながらの石窯で焼くパン。実は、村の教会の横にある小屋はパン窯の建物だったのです。祭りの数日前から村の男性たちが薪をくべ、じっくりと2日間かけて窯を温めます。

その後、手ごねされた生地を使い、本格的なフランスの田舎パンを焼き上げていきます。そして出来上がったパンは、村の人たちに販売され、1個2ユーロほどで購入することができます。

パンを焼く様子1 パンを焼く様子2 焼きたてパンの販売

村の紳士たちは、実はハンター

パン窯の周りで準備を進めていたのは、ちょっと強面な風貌の男性たち。しかし、話してみるととてもフレンドリーで親切な方ばかり。彼らは実は“猟友会”のメンバーで、週末になるとイノシシ狩りに出かけるそうです。

猟師の村人

彼の自慢は、カモシカの一種「シャモア」の角。自宅の壁には、さまざまな動物の角がずらりと並び、狩猟文化の深さを感じました。普段はラベンダーに囲まれた農園生活をしているだけに、こうした出会いはとても新鮮です。

陽気なディナーと深夜の宴

夜になると、村の広場ではプロヴァンス流のディナータイムが始まります。テーブルには大量のワイン、そして南仏名物のパスティスやコニャックなども並び、村の男性たちが腕を振るいます。

ディナー準備の様子 ディナー風景 村人たちの交流風景

村の人々は家族のような存在。人口8人の村とは思えないほどの一体感と温かさが、夜の宴を包み込みます。なんと、3ヶ月のバカンスで滞在している人もいるとか。まさにプロヴァンスならではの時間の流れです。

ダンスの様子

深夜1時まで続くダンスとペタンク。そして、お酒。何度でも繰り返される陽気なリズム。彼らにとってこれは、ただの宴ではなく、人生を楽しむ知恵そのものなのです。

とはいえ、明日からはラベンダーの収穫作業が待っています…。
次回 Vol.3 へ続きます。

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