フランス政府認証AOPとは|BIOとの違いと香りの特徴

フランス政府認証AOPとは|BIOとの違いと香りの特徴

なぜAOP(AOC)制度を理解するか

今回は、旅記事から少し離れて“香りの品質の裏側”について語りたいと思います。特に香りにこだわる方や、生産現場のリアルを知りたい方には是非読んでいただきたい内容です。

「AOP(原産地保護呼称)」や「AOC(原産地統制呼称)」の存在を知ると、品質の背景も見えてきます。「BIO(ビオ)」=オーガニックと混同されがちですが、両者は目的も保証の意味合いも異なるものです。AOPは『伝統と産地』を、BIOは『生産方法』を保証します。フランス在住の友人はこう言い切りました:

「AOPのラベンダーなら品質に間違いない。これが本物だ。」

一方、日本では「オーガニックのほうが安心」といった声も。香りを愛するすべての方へ、制度の違いを正しくお伝えしたいと思います。

ラベンダー精油における認証制度の全体像

プロヴァンス産ラベンダー精油に関して、公的に認められている認証制度は主に2つ:

  • AOC(Appellation d’Origine Contrôlée)/ AOP(Appellation d’Origine Protégée) — 地域・製法・品種の伝統性と品質を保証する制度。
  • AB(Agriculture Biologique) / EUオーガニック — 有機農法や農薬・化学肥料の不使用を保証する制度。

一般的にAOC/AOPラベンダー精油は、真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)という品種で、標高800m以上の地域で伝統的に栽培されたものに限られます

AOP(AOC)ラベンダー精油の条件と価値

  • 産地はオート=プロヴァンス地方(ヴォクリューズ、ドローム、アルプ、オート=アルプ県)
  • 栽培品種は真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)、クローンではなく種による繁殖が条件
  • 蒸留方法は伝統的な水蒸気蒸留で、分析により規定成分が確認される必要あり 

特徴としては、豊かで複雑、かつ“青い金”と称されるほどの華やかさ。世界でただ一つ、真正ラベンダー精油に対してAOPが認証される対象です

BIO(AB/EUオーガニック)認証の概要

ABはフランス政府が制定した有機農業の認証制度。2000年前後からEUと基準が統合され、EUオーガニックロゴとの併用も進んでいます 。「95%以上が有機素材であること」「非合成農薬・非GMO」「第三者による検査」などが認証条件。

ただし、AOPが品質と原産地の保証であるのに対し、BIOは生産方法の保証にとどまるため、香りの本質や産地特性の保証には至りません。

AOPとBIO、どちらを選ぶべきか?

AOPは“どこで、誰が、どのように作ったか”という品質全体への信頼を担保する「産地保証」。BIOは“どんな方法で栽培されたか”を示す「生産保証」。両方を持つ製品に出会えるなら、それは非常に稀少で贅沢な選択といえるでしょう。

まさに香りのプロフェッショナルや本物志向の方にこそ、AOP真正ラベンダー精油を選んでいただきたいと思います。

香りへの想いを未来へつなぐ意味

AOP真正ラベンダーは、何世代にもわたって香り文化を育んできた土地の証。”生命力の源”である精油を手にしたとき、その背景にある風土、作り手の想いを感じ取っていただけたら幸いです。選ぶ目には、香りそのもの以上の価値が宿ると信じています。

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