パリ国際農業見本市 2017|フランス最大級の展示会を巡る買い付け旅 Vol.2【現地取材】

パリ国際農業見本市 2017|フランス最大級の展示会を巡る買い付け旅 Vol.2【現地取材】

気がつけば、あっという間に渡仏から2ヶ月が経過していました。3月、4月はさまざまな準備に追われ、なかなか落ち着いて振り返る時間もなかったのですが、ようやくこのブログで続きをお届けできそうです。

今回は、フランス最大級の農業見本市「サロン・アンテルナショナル・ド・ロザグリカルチュール(Salon International de l'Agriculture)」の現地レポートVol.2。会場は全部で7つの巨大なパビリオンに分かれており、前回は家畜が集まるパビリオン1をご紹介しましたが、今回は“フランスの地方と名産品”が一堂に会するパビリオン3を巡ります。

パビリオン3の様子 各地の名産品ブースが並ぶ

パビリオン3:フランス13地方の名産が集う美食のワンダーランド

入口からすでに人でごった返しており、その熱気に驚かされます。小さなブースがまるで迷路のように連なり、各地方の特産品や試食、ドリンクのサービスなど、フランス文化の粋が凝縮された空間となっていました。

ここでは、ほんの一部ではありますが、実際に歩き回って出会った感動的な名産品と生産者の方々をご紹介します。

ゲランドの塩|1000年以上の伝統を誇るフランスの宝

ゲランドの塩ブース

偶然にも立ち寄ったブースで、日本でも広く知られる「ゲランドの塩」の生産者とお話しすることができました。彼らはフランス北西部ロワール地方の塩田で1000年以上続く伝統的な製法を守りながら、現代の消費者に高品質な天然塩を届けています。

ブースでは、塩そのものの試食はもちろん、塩を活かしたバターやキャラメルなども紹介されており、まさに“味覚の発見”というべき体験でした。

ラクレットチーズ|アルプス山脈の恵みを味わう

ラクレットチーズ

熱々に溶かされたラクレットチーズが香ばしくバゲットにとろけていく様子…それを目の前で見てしまったら、もう抗えません(笑)。オーベルニュ地方やサヴォア地方で生産されるこの伝統チーズは、寒い冬にぴったりのごちそう。塩気の効いた芳醇な味わいに、ワインとの相性も抜群でした。

生シードル|ノルマンディーから届くフレッシュな微発泡酒

生シードルの試飲

アルコール度数控えめで爽やかな飲み心地のシードルは、歩き疲れた身体に心地よい癒しを与えてくれます。微炭酸の泡立ちも心地よく、りんごの果実味をしっかりと感じる仕上がり。日本ではなかなかお目にかかれない、生タイプのシードルというのも大きな魅力でした。

放し飼いの鶏肉|ラベル・ルージュが証明する品質

放し飼いの鶏

この展示会では、単に“美味しい”ということを超えて、生産者の哲学が商品に込められていることを改めて感じさせられました。その一例がこの放し飼いの鶏肉です。育った環境、与える飼料、ストレスのない生活…。それがすべて味に表れるのだと実感しました。

赤い「ラベル・ルージュ」は、フランス農業省が品質を保証する認証マーク。日本でもこのマークの付いた食品を見かけることがあります。

唯一のラベンダー農園|Bleu d'Argensと出会う

ヴェロニクさんとBleu d'Argens

そして、今回の展示で最も印象深かったのが、南仏プロヴァンス地方の標高1,400mに位置するラベンダー農園「Bleu d'Argens」。なんと、この農業見本市に出展していた唯一のラベンダー生産者でした。

オーナーのヴェロニクさんは、かつてアフリカ大陸をバイクで縦断したというバイタリティ溢れる女性。現在は人口15人未満の山村アルジャンに移住し、自らの手で在来種ラベンダーの栽培から蒸留、製品化までを一貫して手がけています。

彼女が語ってくれたのは、香りの繊細さを最大限に引き出すために100%天然成分にこだわる理由。「たった一滴の化学成分でも、ラベンダー本来の香りと力が損なわれてしまう」と彼女は言います。その言葉に、フランス人ならではの美学と職人魂を垣間見た気がしました。

Bleu d'Argensのラベンダー製品

ディナーでの裏話 | 自然と向き合うという選択

展示会の後には、ヴェロニクさんとディナーをご一緒する機会にも恵まれました。ラベンダーの話にとどまらず、自然との共生や、地方に暮らすことの意味について語り合い、深く共感するひとときとなりました。

Vol.3では、いよいよブルーダルジャンの最新製品とアルジャン村での滞在についてご紹介します。

お楽しみに!

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